拒絶 2








「……ここが、ロザ・パリエ…」

ある意味、懐かしいのかもしれない。
オプリュストが生まれたのはこの街だから。

「…のんびり懐かしんでいる暇はないわ。
 早くアーティスを探しましょう」

リィアの声にブレウスが頷く。
シェイカを促すように背を叩くとシェイカは苦く笑った。

「この街はそこそこ広いから手分けして探したほうが早いと思うよ。
 私は空から探してみるけど…」
「よろしくお願いします、エウロさん」

その言葉を了承として受け取り、エウロはドラゴンと共に空高くへ飛び上がった。



「…じゃあ俺はスラムのほう探してくる。
 舞夜は?」
「シェイカについてても問題ない?」
「あぁ、問題はないけど…。
 無理だけはしないようにな」
「了解」
「兄貴は?」
「ここで待ち伏せしてみるよ。
 集合場所としていたほうが良いでしょ」

にこり、と屈託のない笑みを向けるリドラに思わずシェイカも笑みを零した。

「じゃあ、あとでな」

ブレウスがそう行って人込みへ消えてゆく。
シェイカも舞夜に促されて人込みへ消えた。





深い緑の生い茂る森の中。
その中に一軒、家があった。

そこはロスアンジェの生き残りである姉妹が住む家。
相当な魔力を持たなければわからない家。

「…アーティス、逃げるか?」

姉の声に、首を振る。

「…逃げる必要はないと思う。
 この場所が見つかる可能性のほうが低いんだから」
「…そうだな…」
「いざというときはリヴァに頼んでここから消えるよ」

その時、姉はまた1人になってしまう。

「私のことは気にしないで逃げると良い。
 私はお前の魔力を消し去ってここに居ないように仕立て上げるだけだから」
「最後まで迷惑かけることになりそうだね、姉さん…」

ごめんなさい。
そう短く言葉にするとリメレアはアーティスの頭を撫でた。

「私にはそれぐらいしか出来ないのさ。
 私は既に死んでいるも同然の身なんだから」
「悲しいこと、言わないでよ…」
「私はいつ死んでもおかしくない。
 正直ここまで生きてこられたことが奇跡ではないかと思うくらい」

今まで生きてこれた事こそが、奇跡。
既に死んでいておかしくないという彼女に起きている奇跡。

それはリメレア自身も、アーティスも、とても喜ばしいこと―――のはず。
けれど、彼女らは喜びはしない。
悲しみはする。

それは。

「…私達は生きていようがいまいが、若くして死ぬ運命にあるんだから…」

彼女達だけが知る、運命の旋律。




2007/05/13