「…一体…っ、何処に…!」

それは、数時間前の出来事だった。




ロザ・パリエ 5






「思い当たるのはロザね」

そうシェイカに言うリィア。
そしてシェイカは問う。

「ロザ?」
「ロザ・パリエのことよ。
 …スラム街があるところ」

スラム街という言葉を彼女は苦しそうに言う。

「…スラム街…?
 ロザ・パリエにスラム街があるんですか?」
「そうよ…。
 スラムが多少離れているからスラムはスラムだと思われがちだけど」
「何で、ロザに…」
「…ロザ・パリエは昔、ロスアンジェの拠点となっていた街なの。
 そして、もう一つの名家が生まれた街。
 それは、判るでしょう?」
「もう一つの名家…。
 そうか、オプリュスト…」

そのシェイカの言葉に、ブレウスとリィアの顔が歪む。
シェイカは目を伏せた。

「姉貴、如何する?
 ロザに行くしかないが…」
「…リドラとエウロがもう直ぐ帰ってくるわ。
 それまで待ちましょう。
 あの2人の戦力があれば何かと楽だから」
「…だな、決まりだ。
 シェイカ、早く見つけたいのは判るが、今のところは兄貴とエウロが帰ってくるまで待つ。
 勝手に出て行くなよ」

そういわれて、ブレウスはシェイカの反論を予想した。
だが、ブレウスの予想に反してシェイカは反応を示さなかった。

「シェイカ?」
「―――…アーティス…」

出て行く感じはしないから、放っておく事にした。

「…そういや、ティヴォスの奴は何処うろついてるんだ?」
「…―――。
 メフィーラに居るみたいね」
「なんでまたメフィーラなんだよ…」
「私が知っているとでも思う?」

リィアにそういわれてブレウスは問いだすのをやめた。
ブレウスが溜息を吐き出したそのとき、扉が開く音がする。

「ただいまー」

リドラの声だ。
それからリドラに何か言うエウロの声も聞こえる。

「…ナイスタイミング、ってやつだな」
「そうみたいね…。
 リドラーっ、エウローっ」

リィアの呼ぶ声に急かさなくても行くからというリドラの声。
そしてリドラとエウロがこの場に姿を現して、両者とも懐かしい人物に奇声を上げる。

「シェイカ!」
「どうもご無沙汰してます」

わーわーとリドラがまるで子供に戻ったかのよう。
それを見てリィアが本で鉄槌を下す。

「…〜っ」
「はしゃぎすぎよ、リドラ」
「うー…だってさぁ、リィア?」
「懐かしいのは判るけど、今はそれよりも」

そういうと、リドラの目付きが途端鋭くなる。

「ロスアンジェの子だね」
「そう、アーティス」
「探しに行くんだろ?
 だから僕とエウロを待ってたと」

そういうことだろ?
そういうとリィアが頷く。

「早速だけど、大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。
 エウロ、ロータの準備を」
「りょーかいっ」

ロータ。
エウロのドラゴンの名前だ。

「何かあった後じゃ困るしな…。
 念には念を押して、戦えるようにしておかないと」
「そうね…。
 シェイカくんも準備はいい?」

問われて、シェイカは伏せていた目を開ける。

「…俺は、いつでも大丈夫です」

エウロがロータの準備を終えて戻ってきて、早速とロザ・パリエへ向かうことになった。


「アーティス…」

やはり。

「俺が…俺が、オプリュストの人間だからか…?」

お前が、そうして俺から遠ざかるのは。






2006/03/28