「…ふふっ…驚いてるみたいだね」
「…お前…ファシエ…か?!」

これが、彼の元の姿なのか?

「俺よりも、他に気づくべき事があるんじゃない?」

彼は、そう言った。

「…―――!」

彼の…元の姿のファシエの腕の中。
そこに…、

「アーティス!!!」

捜し求めた彼女は、居た。





聖職者 6







「…リヴァイアサンは…?!」

主が危機にさらされたら、出てくるはずじゃないのか。

「…あぁ、アイツ?
 俺が強制送還したから当分、出て来れないよ」
「な…!」

出てこられたら困るからね、そういって、くすっと笑う。

「…ま、アーティスに封印は解かせたし…」
「なんだと…っ!?」
「…簡単だよ、そんなこと」

ふっと笑うファシエは、どこか勝ち誇ったような笑みを含んでいた。

「…こうして、ね」

すっ、と自分の白い手をアーティスの顎に宛がう。
そして、ゆっくりと。
ファシエは、アーティスに口付けた。

「…―――!!!」
「…こうするだけ」
「貴様…っ!!!」
「おっと…、猪突猛進な子だね」

飛んできた光の矢をいとも簡単に避け、言った。

「まぁ、その分…アーティスには苦しい思いをしてもらうだけだけど」
「ちっ…テメェ…!」

見れば判る。
アーティスの顔が青ざめてる。
ファシエは―――彼女の魔力を、吸い取ったのだろう。

「君が俺を攻撃すれば、アーティスにも当たるよ。
 それだけは言っておこうか」
「…この…卑怯者…っ!!!」

手も足も出せない。
やはり、悪魔というのは卑怯で卑劣で…以下エンドレス。

(…って何のんきに考えてるんだよ俺は!
 バカか!)

乗りツッコミをしている時間も惜しい。
アーティスを、無傷で取り返すには…どうすればいいのか、と。

「…俺はね、アーティス以外に欲しいものは無いんだ」
「…!?」
「だからリヴァイアサンとかアルクサウスとか…本ッ当に嫌いなんだよ」
「何故そこでアルクサウスが…」

出てくるのだ。
過去の、シェイカたちが生まれるよりも前の話ではないのか。

「…お前はわからないだろうね。
 けど、アーティスは知ってる。
 アルクサウス…ま、俺はアルクって言うけどね。
 アルクのことも、前世の事も。
 そして…現在アルクと同じ位置に居るのは誰かってことも」

それが、誰なのか…本人は気づく事など無いのだろう。
まさか、その一族が悪魔の血を引いている、なんて誰が気付くか。

「ま、今日のところはアーティスから魔力を奪えた事だし、退散するよ」
「―――!」

つかつかと、シェイカに素早く寄ると、シェイカにアーティスを渡す。

「…俺は…アーティスが傷つくのが一番嫌なんだよ。
 だから、俺はお前もリヴァもアルクも嫌いだ。
 アーティス傷つけるヤツは大ッ嫌いだ」

そういうなり、ファシエはあっという間に姿を消した。
その場所に残ったのは…シェイカと、そして、アーティスだけ…だった。










2005/10/30