「―――で…。
 って、あれ、アーティスは…?」
「…さっき居なくなったけど」
「それを先に言えよ…!!!」

途端ブレウスは慌てた。





行き先 4







「…」

普段静かであるはずの森の中。
そこは魔物が蠢いていた。

「…―――っ!!!」

突然剣を振るうと後ろには魔物。
そして、その人物は魔物に囲まれていることに気付く。

だが、焦るわけでもなく、それは戦いを始めた。






「…はぁ…っ…」

走って探しても、その姿が無い。

アーティスはシェイカを探している。
だが町の何処にも居ないのだ。

「なんで…。
 こんなときに外には出ないだろうし…」

こんな危険なときに外に出る方が間違ってる。
だが、もしもそうだったら?

「シェイカ1人で…何を…?」

何を、しているのだろうか。

門を見て、閉まっていることに安堵する。
だが、この門以外にも外へ続く道はいくつもあるだろう。
中にはこの地に住む人間にしかわからないような―――。

そこまで考えてはっとする。

「…まさか…?!」

この地の人間にしかわからない道を通ってこの町の外へ出たのだろうか。
そう思うと背筋を冷や汗が伝った。

「…アーティス!!!」

嫌な予感が的中しているのではないかと固まっていたアーティスを呼んだのはシェイカではない。

「ブレウス、さん…?!」
「っ…は…、話はまだ終わっちゃいねぇよ…」
「あ、すいません途中で…」
「それより、シェイカを探しにきたんだろ、あんたは」

そしてブレウスの後ろの方から舞夜の姿。

「な、んっでいきなり走り出すのよ…あんたは…」
「話の途中だからだって。
 …って、すまん、舞夜」
「何よ」
「置いてって」
「…別に…怒っちゃいないけど」

ぷい、とそっぽを向く舞夜にブレウスの顔が苦笑いに歪む。

「…あいつ…外に出たな」
「え…っ?!」

想像したくなかったその事実。
それをブレウスはさらっと言った。

「…昔からそうなんだよ。
 嫌なことがあると直ぐ魔物にぶつける。
 …ただでさえあいつは命が短いってのにな」
「―――!!!」

アーティスの予想しない驚きにブレウスが驚く。

「…まさか…知らなかった、とか…?」

その声に縦に首を振る。

「…じゃ…あいつが無族ってことも…?」
「無族…ってウィーノさんも言ってましたけど…。
 一体…?」
「…属性を持たない、というか、全ての属性を扱えるって意味。
 俺は炎だけしか属性を持ってない」
「だから破壊者呼ばわりされてるわ」
「舞夜やっぱお前怒ってるだろ…。
 …って無族の話だったな。
 俺は炎の属性しか無いから炎しか使えない。
 だが、あいつは全ての属性を持ってる。
 その属性の均衡が崩れれば倒れることもあるし最悪死ぬこともある。
 だが無族はそれよりも、全ての属性を扱えるということで寿命が短いんだ。
 コップ一杯の水にもっと水を入れたらこぼれるのと一緒。
 既にあいつの属性はギリギリであふれ出す寸前。
 何かの途端にあふれ出せば、そこで終わり。
 魔力ってのは使えば使うだけ溜まってく。
 初期はコップに全く無い…」
「…それで、シェイカはあとどれくらい使っても大丈夫なんですか…?」
「…俺には、詳しいことは判らない…。
 だけど、あいつの身が滅ぶのはそう遠く無い…」
「…だからあんた急いでたの…?」
「すまん、言ってなくて」
「…それならそうと早く言ってくれればどうにかしたわよ…。
 私だって…無族なんだから」

その言葉にアーティスが目を丸くする。

「私は…そんなに使わないからまだ半分にも達して無い。
 だけど、シェイカくんは私とは別でしょ…いつも戦って…。
 …! そうよ、ブレウス早くしないと…!」
「あぁ、判ってるよ!
 だから急いでるんだろ!」
「…まさか…シェイカ、戦ってる…ってことですか?!」
「あぁ…あいつのことだからな…。
 早いトコ探して止めねぇと…」


最悪、あいつの命が無くなる―――。












2005/09/25