行き先 1






「…な…んだったんだ今の…」

今の、一筋の光は。
一体なんだったのだろうか…?

「…、ちょっと行ってくる!」

そういってアーティスが駆け出すのをみて、シェイカは慌てて追った。



「…いない…!?」

その光を発した場所。
それは、アーティスを助けた青年がいた場所だった。

あの青年がやったのだろう。
そうだ、そうに違いない。

ドラゴンを一瞬で消せるだけの魔力を持つ魔術師。
そんな魔術師、滅多に居ない。

というか、このウェスター地方がいくら魔法、魔術に秀でていてもこれは難しい気がする。
では、もしかして…、あのエキスパート一族だろうか。

「…すみませんが」

突然、アーティスに声をかける者がいた。
それに驚きながらもアーティスは後ろを向くと、そこには赤髪の青年の姿があった。

何処か見覚えの在る姿の気がする。
彼自身から感じられる魔力は半端無い―――相当な魔術師であるのは間違いない。

「…は、はい…?」
「ここにいたのはあなただけですか?」
「え、あ、ぁあ、はい…そうですけど」
「…そうですか。
 有難う御座いました」

そういうと、青年は踵を返し、町の外のほうへ足を進めたのだった。
一体なんだったのだろう。

あの銀糸を持つ青年を探していたのだろうか。
―――多分、そうなのだろう。

「アーティスっ!」

シェイカの声が聞こえて、仕方なく城に戻ることになったのである。





「…イクス、何かあったのか?」

帰ってくるなり、騎士たちの様子がおかしかった。
城全体がざわついていたのだ。
何かがあったことははっきりとわかる。

シェイカはイクスに聞いたが、彼が中々口に出そうとしないのだ。

「…、王の間に…行けば判ります」

ようやく開いた口からは、それだけしか言葉が出なかった。

それほどに大変な事態だったのだろうか。
判らないが、判るために王の間へ足を急いだ。

そして、その扉を乱暴に開け放つと、そこには。

赤き髪の青年と、黒き髪の女性がいた―――…。








2007/08/23 加筆修正