「…待って、シェイカ!」

アーティスの声さえ、しなければ。





魔術都市の騒乱 4






「…アーティス、お前…」

シェイカが驚いて魔力を飛散させると、アーティスは言った。

「…シェイカには関係ないでしょ?
 なら、私が出ればいいだけの話…。
 そうでしょ、ファシエ」

その声にファシエはにっこりと、悪魔特有の笑みで笑った。

「もう4年になるかな?」

そう、にっこりと笑っていた。

「何があってもあなたの姿を戻すことはなしない。
 あなたの命が費えるまで、ね」

そうはっきりと、ファシエに言う。

それは変わることのない意思。
ずっとこのままだ。

「…そうか…、残念だよ、アーティス。
 …その上、あんなヤツを…」
「黙りなさい」

アーティスが恐ろしく低い声でそういった。
それにシェイカは驚くが、ファシエはまったく驚かなかった。

「…ま、君でも俺の姿を変えるぐらいしか出来なかったってことだから…どうでもいいっちゃどうでもいいんだけど。
 なにぶん動きにくくてね。
 力があっても行動が制限されてるもんだから」
「…、帰って」

アーティスの声に、ファシエは仕方ないという風に言った。

「じゃぁ、また今度」

また今度。

そういって空に姿を消した。

「もう、会いたくなんか…ないわ」

もう、絶対に。
これ以上、会いたくなんかない。

「…アーティス」

シェイカの驚いた声に、アーティスは振り返った。

「…お前の過去に、何があったのかなんて、聞きたいところだが、今は聞かない。
 …いつかでいい、それが、本当に関わることになるのなら…」
「そのときは全部教える。
 判ってる、本当なら今言わなくちゃいけないことだって、わかってる。
 だけど、ね…今、直ぐには…いえないの」

その言葉に、シェイカは判った、と一言言って、キーゼを示す。

「早くオパスに行かなきゃならない。
 今ここでとどまっていても何もないだろ」

魔術都市、オパスへ。
行かなくてはならないのだ。

「…うん」

いつか、ちゃんと。
時が来たら、話すから。

だから、
それまでは、待って。







2005/06/08
2007/08/23 加筆修正