嫌…!やめて…!!


死なないで…、お願い、お願いだから…!!
アルクサウス様…!!







始動の時 1










本日の天気は、晴天。
空に曇りの一つもない、快晴。



「あー…だーるーい…」

アドベンティストという職業名を背負う少女が1人。
喫茶店のオープンテラスでだらり、と伸びている。

「…次は…オパス…か。
 何これ、遠い!」

地図を見て、距離を確認して。
その長さに一瞬ばかり絶句し、それから地図を机に叩きつける。

同時、調べ物から帰ってきた少女の連れの青年が呆れながら少女に問う。

「…何やってんだ」

その連れの言葉に、少女は反応した。

「シェイカ!」

橙色の髪を持つ青年に向かって、シェイカ、と名を叫ぶ。

しまった、拙い所を見られた。
そんな悲鳴にも近い叫びだった。

「…アーティス、お前地図見て絶句してるのか?」

シェイカにアーティスと呼ばれた少女は、シェイカの声に唸る。
すると、シェイカは地に叩きつけられた地図を拾い上げ、眺めた。

「仕方ないだろ。
 そういう道のりなんだからよ」
「ぶー…」

ぷくり、と頬に空気を溜め込み、

「あ、シェイカは調べ物終わった?」
「あぁ、一応終わったぜ。
 そうか…オパスか。
 ちょうどいいな、あそこは魔術に秀でた町だから」
「…い、いくの?」
「当たり前だ」



数ヶ月前、彼らは出会った。

たまたま、といった方がいい。

ただ、目的が似たようなものだったから、互いに一人だったので一緒に行動することになった。





同時刻、別の場所。

「で、『アレ』はどうなったのかなレジェス?」

無邪気な子供の声が聞こえる。

「…はい、今のところ順調に進んでおります」

レジェスと呼ばれたのは黒き羽を持つ女性。
いわゆる…女悪魔。

「…そう。
 じゃぁいいか。
 あの邪魔者は?」
「現在はプライストラーではないようです」
「ふぅん…。
 ならもう関わってこないだろうね。
 なんせ、アイツがいなくなったんだからさ。
 いい気味だよ」

くくく、と喉で笑う少年の背にも、黒き翼があった。
その少年の髪は黄土色に近い、濁った金色。
確かに濁っている。だが、それは綺麗だった。

「…レジェス、このまま続行だ」
「判りました」

そうしてレジェスが消えると、少年は笑いを止めた。

「…どうしてお前は…、僕を…!!!!!」

選んでくれなかったのか。
この姿にしたのか。

すべて、わからない。






「…ん?」
「どうしたよ?」
「うぅん…なんでもないよ…。
 行こ、シェイカ」
「?
 あぁ…」


確かに今…。

彼の存在を感じた―――…。







2007/07/30 書き直し